長岡瞽女・小林ハルさんについて

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長岡瞽女・小林ハルさん

略歴

略歴

1900年(明治33年)新潟県三条市で出生
生後100日で失明
5才 瞽女の親方に弟子入り
9才 初の旅回り
昭和48年に福祉施設に入所するまで瞽女として生きた

1978年(昭和53年)記録作成等の措置を講ずべき無形文化財として認定
2001年(平成13年)三条市名誉市民
2002年(平成14年)吉川英治文化賞受賞
2005年4月25日 盲養護施設胎内やすらぎの家にて永眠105才

ハルさんの教え

ハルさんの教え

・ものを習う気構え
・唄を聞いて頂く気構え
・暮らしを立てていく気構え

そこから教えていただきました。

ハルさんが伝えたいと望まれたそのままの瞽女唄を、
多くの方にお伝えしたい・・・

「お前はめぐりにあれこれされないでおれのいうことをきいていろ」
(お前は周囲に惑わされず、自分の言う事を聞いていろ)
「おれの唄を立派に唄うてくれるのはおまえだけだ。大事に唄うてくれ」
「お前みたいなのを唄バカというんだ。おまえの唄は、さずきもんだの(さずかりもの)」
「おれがもうちっと若かったらおまえと旅したかったもんだのよかったろうの」
※新潟の方言では女の人も自分のことを「おれ」といいます。

辛いことの多かったハルさんに「人生の最後の最後におまえと会えてよかった」と
感じていただきたい・・・その一心でお稽古に通った十年余でした。

90歳をこえたハルさんが気力と労力をそそいで伝えてくださった事を
無駄にしてはならないと考えています。

ハルさんの言葉に「よい人と歩けば祭り悪い人と歩けば修行」と言うのがあります。

小林ハルさんのお墓

小林ハルさんのお墓

新潟県胎内市、胎内川のほとりにあります。
小林ハルさんのお墓

ハルさんの生まれ故郷は新潟県三条市ですが、
ハルさんは常々「自分はここ(胎内やすらぎの家)が一番幸せだ、
死んでも三条にいくつもりはない、ここの墓に一緒に入れてもらうんだ」と言っておられました。

写真の右に写っているのが、その胎内やすらぎの家の共同墓、
六地蔵ですそのすぐ隣にハルさんのお墓は建てられました 「やすらぎの家」のすぐ近くです。

戒名は「無量院春芳慈声大姉」

年に2回ほど折に触れては訪れていますが、周りに建物がないせいか風が強いことが多い場所です。
供養してくださっている長谷寺からは車で10分ほど離れていて、
水道、ゴミ箱などの設備はありませんのでおいでになるときはご準備いただければと思います。

胎内やすらぎの家(ハルさんがお住まいだった施設)

胎内やすらぎの家(ハルさんがお住まいだった施設)

師匠小林ハルさん追悼演奏を行いました。
師匠に対する自分の気持ちを飾らずにまっすぐに唄わせて頂ける場所で、と考えた末、他からのお誘いはお断りさせていただき、ささやかな追悼演奏を2回計画しました。

この日は、ハルさんのお誕生日に当たる日でした。
私が初めてハルさんを見たのもこの場所、また初めて人の前で唄ったのもこの場所でした。
その時はハルさんが隣にいてくださり、唄い出しをうたってくださったのでした。お稽古にこの場所を使わせていただいた事もあります。
さまざまな事を思い出し、お元気なころの師匠を身近に感じながらの演奏でした。

入所の方、職員の方、楽しんでくださいました。
演奏終了後、テレビ、新聞などの取材をうけました。

師匠が亡くなられてしばらくは取り乱して過ごしましたが、今は決意を新たにしています。
90歳を超えたハルさんが熱意をもって私に伝えてくださったのは何のためだったのか、それを無駄にしてはならないと思っています。

新潟県阿賀野市(笹神)出湯温泉「石水亭」

新潟県阿賀野市(笹神)出湯温泉「石水亭」

写真右に写っている掛け軸は、小林存氏が亡き師(折口信夫)に捧げた短歌
「山尋ね 逢はむ方なき 君が行き いくたびいへど 悲しかりけり」
この日のために二瓶さん(写真上)が出してくださったものです

師匠小林ハルさんは「上手にできたか」「間違わなかったか」「声がよくでたか」・・と
私に問うたことは一度もありません。
「お客人は喜んでくれなさったか」それだけをいつも聞かれました。
皆様に楽しかった、といっていただき、師匠もきっと喜んでくださったと思っています。

「石水亭」でやらせていただけたことに大きな意味と喜びを感じています

「石水亭」でやらせていただけたことに大きな意味と喜びを感じています

出湯温泉は昭和35年から13年間小林ハルさんが住んでおられたところです。
暮らしの立ち行かなくなったハルさんに住む場所を提供し、
その後の生涯を最後まで見守ってくださった恩人が二瓶文和さん、「石水亭」の館主でいらっしゃいます。
「ハルさんが亡くなったら自分が後始末をする。それまでは死ねない」・・
そうおっしゃっていた二瓶さんもご高齢になられ、
「石水亭」はハルさんと最後をともにするように2005年12月をもって閉館となりました。

この追悼公演のためだけに特別に「石水亭」を開けていただきました。

二瓶さんがいらっしゃらなければ私がハルさんとめぐり合うこともなかったかもしれません。

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